環境による「モテなきゃ圧力」の違い
- 作者: 斎藤環,酒井順子
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 2006/05/01
- メディア: 新書
- 購入: 2人 クリック: 44回
- この商品を含むブログ (117件) を見る
酒井:斎藤(環)さん自身の青春時代は?
斎藤:もちろん暗いものでした。
(中略)
あの頃の筑波というのは、抑圧の場所としてはすごいものがある。筑波全体が、というわけではなくて、要するに若い男女が地理的に隔離された結果、極端に流動性が高い場所ができてしまったんですね。結果として男女関係については、それこそ勝ち組、負け組的な格差が広がりやすくなり、私のような負け組はルサンチマンをため込みつつ必然的におたく化していくことになる。
(斎藤環,酒井順子『「性愛」格差論―萌えとモテの間で』(中央公論新社)p94から引用)
上の本にあったこのくだりを読んで「あ、やっぱり筑波ってそうなんだ……」と思い出したことがあります。
以下に書く話は、私が以前ネットで知り合った友達Yさん(筑波大学卒・女性・1970年代前半生まれ)と数年前にオフラインで会ったときに直接聞いたハナシです。
大学卒業後に即結婚をしたYさんは、非モテの私から見たら遙かにモテ・エリートコースを歩んだお方でした。(私がYさんと知り合ったのは結婚後です。)久しぶりにオフラインで会ったから、とネット上では話さない/話せないような色々な事を喋ってるうちに、モテ非モテ*1の話題になったので「卒業後直ぐに結婚するなんて、Yさんはさぞかしモテモテだったんだねー」と冷やかし半分に言ったら……
Yさんからはなんと「私、全然モテなかったよー」という意外な返事が返ってきました。
え、ええ?彼女の言葉にたいへん驚いた私は「『卒業後に即結婚』というのは、大学時代に恋愛してないとできない事ですよね?」という内容の質問をしました。
- そこで得たYさんからの回答。
・筑波大学は陸の孤島(つくば学園都市は大学や研究所以外は何もない所)で、学生も他の地方から来る人間が多い。イコール、一人暮らしが圧倒的に多い。
(参考:筑波大生90%が大学の周辺に住んでいる学生の町)
・下宿ということで親の目がないので、彼氏/彼女ができるとそのまま同棲生活*2にもつれ込むことがとても多い
・周りがホイホイくっついていく中で「異性と付き合えない」というのはプレッシャー
- そういう環境にいたYさんの話
・理系で女子が少ない環境にいたが数年間は彼氏ができなかった
・ようやく彼氏が出来たのは上級生になってから
- Yさんが早く結婚した理由
・彼氏が数歳上で先に就職し、遠距離恋愛になってしまった。結婚すれば一緒に(近くに)住めるから卒業後すぐ結婚した
……とのことです。以上。
(そういえば、木尾士目『げんしけん』(筑波大学のサークルがモデルらしい)にも卒業後即結婚のカップルが居たなあ。卒業後即結婚、って余り無い気がする……在学中から付き合っていても、実際結婚するのは数年後の場合が多いような)
下宿生が少ない地元の女子大に実家から通学してた私の環境と、下宿生が多い大学にいたYさんとの環境とではカップリング(モテて、つがいになること)へのプレッシャー(モテなきゃ圧力)が全然違っていたんだなー。ということがこの話で分かりました。
私もモテない事で悩んでいましたが、学生時代は周りの人間も比較的モテない人が多かったのでプレッシャーは低かった。しかし、同じ学生時代でもYさんの場合、周りがカップルだらけだった中で「独りモノ」(彼氏無し)である事は重圧だったのでしょう。(結局、最後には「結婚」という最大のカップリングに成功した訳ですが……)
この件では、環境による「モテなきゃ圧力」の違いを良くも悪くも痛感した次第です。